S&Pが一部の格付けを引き下げたことで米国の銀行株が下落
米国ニューヨーク市の金融街にあるオフィスに掲げられたS&P Globalのロゴ、2018年12月13日/ファイル写真、ライセンス権取得
[8月22日 ロイター] - 格付け会社S&Pグローバルがムーディーズに続き、商業用不動産(CRE)エクスポージャーの高い一部の地域金融機関の信用格付けを引き下げた翌日の火曜日、複数の米国の銀行の株価が火曜日に下落した。
S&Pの措置により、今年初めに地域金融機関3社が破綻し、業界全体に混乱を引き起こした危機からの回復を目指す銀行セクターにとって、借り入れコストはさらに高くなるだろう。
アプタス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、デービッド・ワグナー氏は「FRBが長期にわたりインフレを高金利で固定させようとする中、バランスシートに関する銀行の構造的側面の一部は依然として銀行にとってリスクとなっている」と述べた。
S&Pは月曜日、資金調達リスクと仲介預金への依存度の高さを理由に、アソシエイテッド・バンク・コープ(ASB.N)とバレー・ナショナル・バンコープ(VLY.O)の格付けを引き下げた。
また、預金流出と金利上昇を理由にUMBフィナンシャル・コープ(UMBF.O)とコメリカ銀行(CMA.N)の格付けを引き下げた。 格付け会社はまた、収益性の制約を理由にキーコープ(KEY.N)の格付けを引き下げた。
S&Pは言及しなかったものの、格付け措置は大手銀行株の重しとなった。 JPモルガン・チェース(JPM.N)とバンク・オブ・アメリカ(BAC.N)の株価はともに2%近く下落した。
シットグループ(CN)、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N)、ゴールドマン・サックス(GS.N)、モルガン・スタンレー(MS.N)はそれぞれ約1%下落した。
キーコープ、コメリカ、アソシエイテッド・バンク・コープの株価は3%以上下落し、バレー・ナショナルとUMBフィナンシャルは2─4%下落した。
ワグナー氏は、第2・四半期に銀行の融資が予想より健全に伸びたことに「驚いた」としながらも、依然として貸し手の問題は続くと予想している。
S&Pはまた、CREエクスポージャーの増加を理由に、S&T銀行とリバーシティ銀行の見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。
米国の銀行の債務不履行に対する保険コストも若干上昇している。 S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、火曜日のゴールドマン・サックスの5年クレジット・デフォルト・スワップは月曜の77ベーシスポイント(bp)から78ベーシスポイント(bp)に上昇し、1カ月ぶりの高水準に達した。
S&Pの今回の措置は、同業のムーディーズが米国の銀行10行の格付けを引き下げ、複数の大手金融機関に対する格下げの可能性を警告した同様の格下げの数週間後に行われた。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げで銀行のコストが上昇しており、顧客が高利回りの代替手段を求めないようにするため、銀行は預金金利をさらに支払わなければならなくなった。
「これらの格下げは主に、複数の政府機関が現在提起している流動性への懸念に焦点を当てている。銀行は、金利収入が2.5~4.5%しか得ていない融資ポートフォリオを大量に抱えているにもかかわらず、預金者には貯蓄口座や短期金融市場口座に4.5~5.5%を支払う必要がある」 」とザックス・インベストメント・マネジメントのクライアント・ポートフォリオ・マネージャー、ブライアン・マルベリー氏は語った。
同氏は、格下げによって浮き彫りになった緊張にもかかわらず、銀行セクターに当面のシステミックリスクは存在しないと付け加えた。
主要格付け会社3社のうち最後の格付け会社であるフィッチのアナリストは先週CNBCに対し、同セクターの「経営環境」がさらに悪化すれば、JPモルガン・チェース(JPM.N)を含む複数の米銀が格下げされる可能性があると語った。
バンガロールのゴクル・ピシャロディ氏、ニケット・ニシャント氏、ニューヨークのヌプール・アナンド氏、サイード・アズハル氏、ワシントンのミシェル・プライス氏、ロンドンのダーラ・ラナシンハ氏による報告。 Akanksha Khushi による追加レポート。 編集:Varun HK、Pooja Desai、Lananh Nguyen、Anil D'Silva、David Gregorio
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